
ソムリエ田中です。今回は「ワインのテイスティング」について様々な角度から解説していこうと思います。
ワインのテイスティングといえばハードルが高いと思っていませんか?
じつは全くそんなことはなく、知っておけばプライベートやビジネスの場面で信頼度アップにつながる”作法”になりますのでぜひテイスティングの知識としてお役立てください。
Contents
ワインをテイスティングする意味は?


ワインをテイスティングする意味は「劣化していないかの確認」です。
おもに年代物のヴィンテージワインを注文したときにテイスティングが促され、代表者(注文者)が味・香り・色あいなどによってワインの良し悪しをチェックする作業です。
したがって「ワインの注文者=テイスティングの役目」があるというわけです。
1人でそのワインを飲むのであればまだしも、グループで食事に来た場合はほかの人のためにもしっかりとチェックしないといけません。
したがって最低限のテイスティング方法は覚えておいて損はありません。
ワインのテイスティング方法(手順)

ワインのテイスティングは次のように行います。
- ワインの「色合い」をチェックする
- ワインの「香り」をチェックする
- ワインの「味」をチェックする
テイスティング①ワインの色合いをチェックする

ワインを注文するとソムリエがグラスに少しだけワインを注ぎますので、グラスを手に取ってテイスティングを開始します。
まずグラスを持ったら「色合い」をチェックしてみてください。
ワインの色合いは健康であれば透き通っていますが、もし劣化していれば”濁り”のある色合いになります。
- 白ワインの場合‥劣化すると極端に濃い黄色になることがあります。濁った色合いでなければ基本的に大丈夫です。
- 赤ワインの場合‥劣化すると濁った色合いになりますが、色の明るさ(オレンジ~紫)といった色そのものの変化は劣化の判断にはなりません。
色が濁っているかどうか?というのが劣化を判断するポイントです。
テイスティング②ワインの香りをチェックする

つぎにワインの「香り」についてチェックしていきます。そのまま嗅いだりグラスをクルクルとまわして空気に触れさせて嗅いだりしてみてください。
テイスティングをしたときにワインの香りが「酸っぱい」ようであれば劣化している可能性があります。鼻にツンッとくるようなビネガーを嗅いだ感じの香りがしたら要注意です。
ほかにもカビ臭や腐敗臭など、とにかく香りをかいで「明らかに良くない香り」がすれば劣化しているかもしれませんのでソムリエに伝えてみてください。(ソムリエが”タストヴァン”という道具を使って味をチェックしてくれます)
テイスティング③ワインの味をチェックする

最後にワインを口に含んで実際に「味」をチェックします。このときはしばらく口の中でワインを転がしてしっかりと味わってみてください。
よくソムリエがするように音を立てて味見をしないとダメ?という質問をいただきますが、そこまでしなくてもいいです。ソムリエはより細かな味までチェックするために空気を多く含ませるため音が立ちます。
ワインの味がおかしい(舌を刺すような酸味)を感じれば、そのワインは劣化している可能性があるためソムリエに申し出てください。
とくに味がおかしくない場合は、これでワインのテイスティングは終了です。
ここまですべてOKであればソムリエに「大丈夫」「OK」といった言葉で返事をします。またコクリとうなづくだけでもソムリエは分かってくれます。
ワインのテイスティング裏話

ワインのテイスティング方法について流れをご紹介しましたが、じつは「本当に劣化して飲めないワイン」であればソムリエは香りだけでダメだとわかるのでテイスティングを促すことはありません。
したがってテイスティングというのはヨーロッパに昔から伝えられた”マナー(作法)”ともいえるもので、食事の席についた方へホスト(注文者)が味をチェックして「ゲストへ悪いものを出さないように」といった意味合いで今も行われています。
したがってテイスティングは誰がする?と疑問を持ったときは、ワインの注文者(ホスト)が行うことになります。
そのようにテイスティングは形だけのものになっているため、私がヴィンテージワインを提供するときも実際にテイスティングを行う方はごく僅か。
ほとんどの方は「テイスティングは結構ですよ」といって実際に行うことはほぼありません。
テイスティングで味が違ったら断れる?


テイスティングの意味は「劣化のチェック」なので、味の好みには対応していません。
もしどうしても想像していた味と違った場合は変更してもいいですが、その場合はワイン代がかかりますので注意をして下さい。1本目のワインが劣化しておらず好みで2本目へ変更したら、2本分の代金がかかります。
したがってテイスティングでは「想像していた味と違う」という断り方はできない、ということです。
テイスティングでグラスに入ったワインは飲み干すのがマナー?


グラス内のワインは飲み干しても残してもOKです。ムリして全部飲まなくていいです。
私もワインを提供する現場でよく目の当たりにするのが「グラスに注がれたワインを全てのみ干す」という光景で、飲み干さないといけない!と思われている方が思った以上に多いのが現状です。
テイスティングで注ぐワインの量は基本的にひと口ほどですが、それでも一度に飲むには量が多いと感じれば残してもまったく構いません。
したがってテイスティングのワインは、飲み干さなくてもマナー違反にはなりません。
ワインの”テイスティング”がもついろいろな意味


最近はワインの”テイスティング”という言葉には様々な意味が含まれるようになってきました。
そもそもワインのテイスティングがもつ意味というのは「試飲」であって、食事の前に品質をチェックするというのが本来の意味でした。
しかし最近では都会を中心に行われる”ワインテイスティングイベント”などがあるように、ワインを「試飲」するのではなく「少し飲む」「立飲み」などという意味も含まれてきています。
したがってワインをテイスティングしてみませんか?といったイベントの場合は、品質を確かめる「試飲」ではなく少しずつワインを味わって楽しむ「ちょい飲み」という意味で理解するのが正解です。

ワインのテイスティングまとめ

ワインのテイスティングについてご紹介しました。ここまでをもう一度まとめておきます。
ワインのテイスティング方法(手順)
- ワインの「色合い」をチェックする
- ワインの「香り」をチェックする
- ワインの「味」をチェックする
誰がテイスティングをする?
➝注文者(ホスト)
テイスティングで味が違ったら断れる?
➝断ってもいいけどワイン代はかかります
飲み干すのがマナー?
➝どちらでも大丈夫です
最近の”テイスティング”がもつ意味
➝「少し飲む」「立飲み」など
これで「ワインのテイスティング」について多少はご紹介できたかと思います。
実際にワインを提供する現場ではテイスティングをする方は限りなく少なくなっていますが、とくにヨーロッパなどのゲストと食事をする場合は”マナー”としてテイスティングが重んじられる場合もあります。
したがって最低のテイスティング方法は知っておかれるのが好ましいかと思います。
とくに会社関係でヨーロッパの方々と食事をされる機会のある方などは、ワインのテイスティングを断るのではなくあえて行うことでより信頼度アップにつながったりします。
ぜひプライベートにビジネスに、ご紹介してきたワインのテイスティングについての知識をお役立てください。



✅ 


コメント