
ソムリエ田中です。今回は「飲みやすいワイン」について選ぶときのポイントをご紹介します。
ひと口に”飲みやすい”といっても抽象的すぎますよね。
もっと具体的に、飲みやすいワインのポイントをお伝えできればと思います。
飲みやすいワインを選ぶ3つのポイント
飲みやすいワインを選ぶポイントは、おもにつぎの3つです。
- ヴィンテージワインを選ぶ
- 飲みやすいぶどう品種を選ぶ
- 飲みやすい地域のワインを選ぶ
この3つのポイントについて詳しく解説します。
(ここでは赤ワインを中心にご紹介します)
ポイント①ヴィンテージワインを選ぶ

まずワインはしっかりと熟成させるほど飲みやすくなるので、出来る限りヴィンテージワインを選ぶことです。
少しでも飲みやすいワインを選ぶためには、まず「ヴィンテージ」に注目をしてみてください。
ヴィンテージワインといえば”高級ワイン”ということになりますが、高級ワインが「うまい!」といわれる理由はまさに「飲みやすいから」です。
なんでヴィンテージワインが飲みやすいのか?
これは余計な成分が「澱」となって沈殿することで、残った液体はうま味だけが凝縮されたものになるからです。もっといえば長い年月を熟成させることにより”角”がとれて丸い味わいになるから。
この「うまい味わい」「スッと口に入ってくる感じ」といった2つのバランスが、ものの見事にしっかりと取れているからヴィンテージワイン=飲みやすいワインというわけです。
もし、いくら味が良くても飲みやすくなければ高値も付きませんよね。
片手落ちではヴィンテージワインは成り立ちません。
ヴィンテージワインは瓶詰をされるときからすでに「飲みやすいワイン」となるべく計算をされて、飲みやすさが上がると同時に値段も上がっていくという仕組みになっています。
したがってヴィンテージワインを選ぶことで、間違いなく飲みやすいワインを選ぶことができます。
ポイント②飲みやすいぶどう品種を選ぶ

飲みやすいワインを選ぶポイント2つ目はぶどう品種をチェックしてみることです。
ぶどう品種というのは大きく分けて「刺激的な味わい」「飲みやすい味わい」といった2つの味に分けることができます。
イチガイにはいえませんが、基本的にこのような品種になります。
- 刺激的な味わいのブドウ品種‥カベルネソーヴィニオン、シラー
- 飲みやすい味わいのブドウ品種‥メルロー・ガメイ・ピノノワール
つまり「刺激的なブドウ品種」というのは熟成させて飲みやすくなるワインが多く、とくに若いうちは飲みづらかったり早飲みワインでも少し”角”の立った口当たりになります。
それに対して「飲みやすい味わいのブドウ品種」からできたワインは若いうちからでも飲みやすく、あまり熟成をさせて飲むワインは存在しません。
メルローを使ったサンテミリオンの銘醸ワインなど、中には長期熟成をさせることによってより飲みやすくなるヴィンテージワインなどもありますが、早飲みワインもこれらのブドウが使われたワインは飲みやすい口当たりを持っています。
ポイント③飲みやすい地域のワインを選ぶ

地域を考えてみることでも、飲みやすいワインを大まかに選ぶことができます。とくに慣れないうちはここから始めてみるのがおすすめです。
たとえばフランスでいえば、飲みやすさはつぎのようになります。
飲みやすい | ブルゴーニュ地方 |
飲みづらい | ボルドー地方 |
フランスを大きく分けるとブルゴーニュ地方とボルドー地方に分けられ、とくに飲みやすいワインを作っているのが「ブルゴーニュ地方」です。
ワインのボトル形状からもわかるように、ブルゴーニュ地方のワインは「なで肩」、ボルドー地方は「いかり肩」となっています。このボトル形状からも女性的・男性的なワインであることが伺えるかと思います。
ワインショップへ行ってワインのラベルを見たときに「Bourgogne」とどこかに表記してあればブルゴーニュ地方のワインですので、ぜひチェックして選んでみてください。
逆に”飲みづらいワイン”と飲みやすくする方法
では”飲みづらいワイン”とはどういうものかをピックアップしてみます。
つぎのようなワインが飲みづらいかと思います。
- 澱が混じってしまったヴィンテージワイン
- 重い味わいで若いワイン
- 酸味が強くて温度の高いワイン
これらをもっと具体的に解説していきます。
①澱(おり)が混じってしまったヴィンテージワイン

まず飲みづらいワイン1つ目がヴィンテージワインの”澱”が混じったワインです。
先ほどヴィンテージワインが飲みやすいとご紹介しましたが、せっかく長期熟成をさせても底に溜まった”澱”を混ぜてしまえば途端に飲みづらいワインとなってしまいます。
ヴィンテージワインは長期熟成させることによって、ワイン中にある余計な成分が固形化して「澱」という状態になって底の方に溜まっていきます。
この”澱”をしっかりと取り除くことでヴィンテージワインをおいしく飲めるわけですが、ボトルを揺らしたりするとこの澱が液体中に舞ってしまい「えぐ味」である澱が混じる。
するとせっかく長期熟成によって美味しくなった飲みやすいはずのワインが、澱が混じった途端に飲みづらいワインとなってしまいます。
これを防ぐためには、しっかりと「澱引き」をすること。
この澱引きがしっかりとできていればヴィンテージワインを飲みやすく、最高のパフォーマンスで楽しむことができます。
②重い味わいで若いワイン

飲みづらいワイン2つ目は重い味わいのぶどう品種から作られて若い状態のワインであることです。
ちょっとややこしい表現になりましたが、つまり「重いブドウの若いワイン」です。
重い味わいにブドウから造られたワインは味が濃いだけではなく、同時に飲みにくさを伴っているため飲みにくいワインとなります。とくに若いほど角の立った飲みづらさを感じるものです。
いちど開栓したらさらに熟成させることはできないので、その場でおいしく飲むことを考えないといけません。
そこで私がやっているのが「デキャンタ」で空気に触れさせる方法です。
ワインをデキャンタに移し替えてみてください。
すると時間とともに角がとれて、だんだんと味が丸く感じられるようになるはずです。
熟成をさせたワインほどまろやかな味にはなりませんが、ボトルのまま飲むのと比べれば明らかに飲みやすいワインへと変化していくはずですのでぜひ実践なさってみてください。
③酸味が強くて温度の高いワイン

最後にご紹介する飲みづらいのが酸味があるのに温度が高いワインです。
私も今までワインを飲んできて、いちばん飲みづらいと思うワインです。
しかしこれはワインに非があるわけではなく、飲むときの”温度管理”がきちんとできていないため飲みづらいワインとなっていることが原因です。
酸味というのは、温度が低いほど感じにくくなります。
ワインに限らず料理などもおなじですので、口に入れるもので酸味を中和するために必要なのは「低い温度」ということを知っておかれると口にするときの適温が見えてくると思います。
したがって酸味のあるワインは「冷やして」から飲んでください。

まとめ

最後に、ご紹介してきた飲みやすいワインを選ぶポイントについてまとめます。
飲みやすいワインを選ぶ3つのポイント
- ヴィンテージワインを選ぶ
- 飲みやすいぶどう品種を選ぶ
- 飲みやすい地域のワインを選ぶ
逆に”飲みづらいワイン”と飲みやすくする方法
- 澱が混じってしまったヴィンテージワイン
- 重い味わいで若いワイン
- 酸味が強くて温度の高いワイン
これで「飲みやすいワイン」を選ぶことができます。
また飲みづらいワインを、工夫によっておいしく楽しむことも出来るかと思います。
ここでは飲みづらいワインについて飲むときの工夫などをご紹介してきましたが、くれぐれも”マズいワイン”ではありません。基本的にマズいワインというものは存在せず美味しく飲めるかどうかは私達の手に掛かっていると思っています。
したがってワインがマズいと感じたときは、ぜひご紹介した工夫を取り入れてみてください。
ほかにもこのサイトではワインを美味しく飲むための知識などをご紹介していますので、ぜひ全体をくまなくご覧になってよりおいしくワインを楽しんでいただければと思います。

また何かわからないことがあれば、気軽にお問合せまでご相談ください。一応ソムリエではありますが、まだまだ私も勉強中のため出来る範囲でお答えしていきます。

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